「ChatGPTに聞いたら、要件は満たしていると言われました」
最近、このように前置きして永住許可のご相談に来られる方が増えています。AIを使えば、制度の説明も、書類の整理も、日本語の文章づくりも、驚くほど簡単にできるようになりました。AIを味方にして、自分で永住申請をする――これは今や、ごく自然な選択肢です。
ただし、2026年10月1日から永住許可の手数料は20万円になりました。同じ日に永住許可に関するガイドラインも改定されています。AIの答えをそのまま信じて申請し、もし不許可になれば、失うものは小さくありません。
この記事では、AIで自分で申請する方にとって、行政書士の有料相談(1時間1万円)がなぜ必要なのか、そしてどう使えば一番役に立つのかを、実務の視点からお伝えします。
※ 手数料の値上げやガイドライン改定の詳しい内容は、永住許可を自分で申請したい方へ|有料相談1時間1万円で解説しています。
1.AIは、永住申請の「とても優秀な助手」です
まず、AIを使うこと自体はまったく問題ありません。むしろ、上手に使えば準備の手間を大きく減らせます。AIが特に得意なのは、次のような作業です。
- 永住許可の制度や用語を、わかりやすい言葉で説明してもらう
- 在留歴・転職歴・出国歴を、時系列の表に整理する
- 自分で書いた文章を、読みやすい日本語に整える
- 中国語と日本語の間で、書類の内容を確認する
- 入管の公式ページを読むときの「下調べ」をする
つまり、情報を集めて、整理して、言葉にする作業は、AIに任せてよい部分です。
2.それでも「AIの答えだけ」で申請するのが危ない5つの理由
問題は、AIが出した答えを最終判断として使ってしまうことです。永住申請では、次の5つの点に特に注意が必要です。
① 情報が古い、または新旧のルールが混ざる
AIは、ある時点までに学習した情報をもとに答えます。2026年は永住制度が大きく動いた年で、AIの答えに古い情報が残りやすい時期です。
- 手数料が「1万円(または8,000円)」のまま説明される
- 2026年10月改定のガイドライン(年収・年金・日本語能力)が反映されていない
- 収入の部分はすでに新しい考え方が適用されている一方、他の部分は2027年4月以降の申請から適用されるという「時期による違い」が整理されていない
② もっともらしい「間違い」を、自信を持って答える
AIは、わからないことでも、それらしい文章を作ってしまうことがあります。存在しない特例や、実務では通用しない基準を、断定的な口調で説明されることもあります。AIの回答が丁寧で整っているほど、間違いに気づきにくくなります。
③ AIは「あなたの書類」を確かめられない
AIの判断は、あなたが入力した情報だけが前提です。たとえば「年金はちゃんと払っています」と入力すれば、AIはそれを前提に答えます。
しかし実務では、ねんきん定期便や納税証明書を見ると、納付期限に遅れていた月が見つかることがよくあります。ご本人が「払っている」と思っていても、審査で見られるのは「期限どおりに払っているか」です。こうした点は、資料を一緒に確認しなければわかりません。
④ 審査の「運用」や「傾向」は、公開情報だけではわからない
永住許可は、法律の要件を満たしたうえで、法務大臣が広い裁量で判断する手続きです。どんな事情が問題になりやすいか、どんな説明が求められやすいかといった審査の傾向は、ウェブ上の情報だけでは見えてきません。数多くの申請に携わってきた実務経験があって、初めてわかる部分です。
⑤ 個人情報の入力と、責任の所在
在留カード番号、マイナンバー、課税証明書の内容などを、そのままAIに入力していませんか。AIサービスによっては、入力した内容がどのように扱われるかが利用者から見えにくい場合があります。
そして何より、AIの答えが間違っていても、AIは責任を取ってくれません。 申請するのも、結果を受け止めるのも、あなた自身です。
3.AIが言いがちな答えと、実務での見方
当事務所にご相談に来られた方のお話をもとに、AIの答えと実務の見方がずれやすい例をまとめました(回答例は典型的な傾向をもとに構成したものです)。
| よくあるAIの答え | 実務での見方 |
|---|---|
| 永住許可の手数料は1万円です | 2026年10月1日から20万円です(窓口申請のみ) |
| 年収300万円程度あれば大丈夫です | 改定ガイドラインでは、世帯人数に応じた水準に継続して達しているかが見られます |
| 年金は、今から未納分を払えば問題ありません | 後から納めても、期限に遅れた記録は残ります。遅れの時期や回数によって、申請時期の判断が変わります |
| 在留期間「3年」でも申請できます | 2027年3月31日までの申請はそのとおりです。4月以降は原則「5年」となり、経過措置の有無を確認する必要があります |
| 日本人の配偶者は「婚姻3年・在留1年」で申請できます | 2027年4月以降の申請では「婚姻5年・在留3年」に変わります |
| 理由書はテンプレートで十分です | 転職、収入の増減、長期の出国などがある場合、その事情をどう説明するかが重要です |
どれも、半分は正しいところが厄介です。正しい部分があるからこそ、残りの部分の誤りに気づきにくいのです。
4.有料相談は「AIのセカンドオピニオン」です
そこで当事務所がおすすめしているのが、「調べるのはAIで。判断はプロと一緒に。」という使い方です。
有料相談では、AIで調べた内容や整理した情報をもとに、永住専門の行政書士が次の点を確認します。
- AIの回答の正誤チェック:あなたがAIから得た答えのうち、正しい部分・古い部分・誤っている部分を仕分けます。
- 要件の判定:在留年数、素行、独立生計、公的義務の履行などを、あなたの資料にもとづいて確認します。
- 新ガイドラインの当てはめ:世帯年収、年金の受給見込額、日本語能力など、改定後の考え方があなたにどう影響するかを整理します。
- 問題点の洗い出し:納付の遅れ、扶養の申告、出国日数、交通違反、転職など、AIに入力していなかった事情も含めて確認します。
- 申請の方向性とタイミング:「今すぐ申請」「2027年3月までに急ぐ」「条件を整えてから」のどれがよいかを判断します。
- 理由書で伝えるべき論点:何を、どの順番で説明すべきかの方向性をお伝えします。
なぜ「有料」なのか
AIは無料、あるいは月額数千円で使えます。それなのに、なぜ1時間1万円の相談が必要なのでしょうか。
答えはシンプルで、AIが答えられないところにこそ、許可・不許可を分けるポイントがあるからです。有料相談では、1時間をすべてあなたのケースに使い、当事務所が多くの案件で積み重ねてきた経験にもとづいて、具体的な判断をお伝えします。
手数料20万円、そして準備に費やす何十時間もの労力と比べれば、1万円で「このまま進めてよいか」を確かめることは、とても合理的な投資です。
5.AIユーザーほど、1時間の相談を有効に使えます
AIを使い慣れている方は、相談の準備もAIで効率よく進められます。事前に次の3つを用意していただくと、1時間の中身がぐっと濃くなります。
相談前にAIで作っておくと便利な3つの資料
- 在留歴タイムライン:入国日、在留資格と在留期間の変遷、転職・独立、引っ越し、長期の出国を時系列の表に。
- 収入・納付状況のメモ:直近5年の年収(世帯分も)、住民税・年金・健康保険の加入状況と、遅れたことがあるかどうか。
- AIへの質問と回答の記録:AIに聞いた質問と答えのうち、不安な点や自信が持てない点。相談でまとめて確認します。
AIに整理を頼むときは、たとえば次のように指示すると便利です。
以下は私の在留歴です。個人を特定できる情報は伏せています。日付の古い順に、「年月/在留資格/在留期間/勤務先の種類/備考」の表に整理してください。
AIに入力するときの注意
- 在留カード番号、マイナンバー、パスポート番号は入力しない
- 氏名・住所・勤務先名は、「Aさん」「B社」などに置き換える
- 証明書の画像をそのまま読み込ませない
6.注意:「AIで申請書類を作ります」という有料サービス
最近は、AIを使って申請書類を作成するとうたうサービスも見かけるようになりました。
ご自身でAIを使って自分の書類を準備することは、何の問題もありません。一方で、2026年1月1日に施行された改正行政書士法では、行政書士や弁護士でない者が、名目を問わず報酬を得て官公署に提出する書類を作成することは禁止であることが、条文上はっきりしました。違反した場合は、業者だけでなく法人にも罰則が及びます。
「AIツールの利用料」「コンサルティング料」などの名目でも、申請書類の作成を代わりに行うサービスには注意してください。トラブルがあっても、誰も責任を取ってくれない可能性があります。
7.AI・あなた・行政書士の役割分担
| 作業 | AI | あなた | 有料相談(行政書士) |
|---|---|---|---|
| 制度の下調べ・用語の理解 | ◎ | ○ | ― |
| 在留歴・収入の整理 | ◎ | ◎(事実の確認) | ○(内容の確認) |
| 要件を満たしているかの判断 | △ | △ | ◎ |
| 新ガイドラインの当てはめ | △(古い情報の可能性) | △ | ◎ |
| 問題点の発見と対処の方針 | △ | △ | ◎ |
| 申請の方向性・タイミング | × | ○(最終決定) | ◎(判断材料の提供) |
| 書類の収集・申請 | ○(整理の補助) | ◎ | ―(依頼すればお任せ可) |
8.有料相談に含まれないこと
- 収集する書類リストの作成・提供
- 申請書・理由書の作成、書類の添削(AIで作成した理由書の添削も含みません)
- 入管への申請取次
理由書の文章までプロに仕上げてほしい方には、理由書作成特化プランもご用意しています。
9.こんな方におすすめです
- ChatGPTなどのAIで調べて、自分で申請しようとしている
- AIに「要件を満たしている」と言われたが、本当に大丈夫か確かめたい
- AIの答えが、質問のたびに少しずつ違って不安になった
- AIが説明する手数料や基準が、最新のものかわからない
- 年金・税金の納付、転職、長期の出国など、気になる事情がある
- 2027年3月までに申請すべきか迷っている
- 中国語で相談したい
10.よくある質問
Q. AIとのやりとりの画面を見せてもいいですか?
A. はい、歓迎します。AIに何を聞き、どう答えたかがわかると、どこに誤解があるかを早く見つけられます。個人情報が映っている部分は隠してお持ちください。
Q. 中国語でAIに質問した内容でも大丈夫ですか?
A. はい。中国語のAIの回答もそのまま確認できます。ご相談自体も中国語で対応しています。
Q. AIで作った理由書を見てもらえますか?
A. 有料相談では、理由書に何を書くべきかという論点や方向性はお伝えしますが、文章の添削は行っておりません。添削や作成をご希望の方は、理由書作成特化プランなどのサポートをご利用ください。
Q. 相談後に申請を依頼した場合、1万円はどうなりますか?
A. 相談料1万円は、当事務所のサポート料金に充当できます。
Q. AIの答えが正しかった場合、相談は無駄になりませんか?
A. 「このまま進めてよい」と確認できること自体に価値があります。20万円の申請を、迷いなく出せるようになります。
11.まとめ:AIで調べて、プロと決める
- AIは、制度の下調べや情報の整理に役立つ「優秀な助手」です。
- ただし、古い情報、もっともらしい誤り、書類を確かめられないこと、審査の傾向がわからないことが弱点です。
- 手数料20万円の永住申請だからこそ、AIの答えを1時間1万円の有料相談で検証する価値があります。
- AIで在留歴や質問を整理してから相談すると、1時間を最大限に活かせます。
- 相談後に依頼へ切り替える場合、相談料1万円はサポート料金に充当できます。
※ 本記事は2026年10月時点で公表されている情報にもとづいています。手数料やガイドラインの内容は、必ず出入国在留管理庁の最新の公表資料でご確認ください。有料相談は許可を保証するものではありません。



