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2026年9月4日まで】永住許可ガイドライン改定案のパブリックコメント実施中|年収・年金・日本語能力も審査対象に

2.永住許可の申請要件

出入国在留管理庁が、「永住許可に関するガイドライン」の改定案を公表し、パブリック・コメント(意見公募)を実施しています。

これは、在留資格「永住者」の適正化に係るもので、永住許可の審査基準の考え方が大幅に具体化・厳格化される内容となっています。

意見の提出期限は2026年9月4日までです。永住申請を検討している方、すでに申請中の方にも影響し得る重要な改定案ですので、その内容を分かりやすく解説します。

⚠ 本記事はあくまで「改定案」の解説です。パブリック・コメントの結果等を踏まえて内容が変更される可能性があります。最終的な内容は、出入国在留管理庁の正式な公表をご確認ください。

1.パブリック・コメントとは

パブリック・コメント(意見公募手続)とは、国の行政機関が政令・省令やガイドライン等を定める前に、広く一般から意見を募集する制度です。

今回は、平成18年に策定された「永住許可に関するガイドライン」の改定案について意見が募集されており、誰でも意見を提出することができます。永住を希望する外国人の方ご本人はもちろん、その家族、雇用主、支援者も対象です。

POINT|意見提出の期限は2026年9月4日です。提出方法等の詳細は、電子政府の総合窓口(e-Gov)のパブリック・コメント欄で確認できます。

2.改定案の全体像:永住許可の3つの要件

永住許可を受けるためには、入管法第22条第2項に基づき、次の3つの要件を満たす必要があります。この枠組み自体は従来どおりですが、改定案では各要件の考え方が大幅に具体化されています。

要件 内容
① 素行善良要件 法律を遵守し、住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
② 独立生計要件 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。
③ 国益要件 その者の永住が日本国の利益に合すると認められること。

なお、日本人・永住者・特別永住者の配偶者又は子は①②が不要、難民認定等を受けた方などは②が不要という例外も、法律上定められています。

また改定案では、国益要件について、単に「国益に反しない」という消極的なものでは足りず、積極的かつ具体的に日本国に利益をもたらす必要があると明記されています。ここは非常に重要なポイントです。

3.【独立生計要件】世帯年収と年金が具体的な基準に

①収入:「日本人世帯の平均収入を上回る水準」が目安に

改定案では、原則として申請時点で、申請者の属する世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準(年収水準)に継続して達しているかが考慮要素とされました。

注意すべき点として、次のような世帯年収の数え方が示されています。

  • 審査は原則として同一生計世帯単位で行う
  • 「家族滞在」など就労を目的としない在留資格の家族の収入(資格外活動によるアルバイト収入等)は、世帯年収に合算できない
  • 外国に住む親族を含め、申請者が扶養する親族は世帯人数に加算される(扶養家族が多いほど必要な年収水準が上がる)

②年金:将来の受給見込額も審査対象に

さらに改定案では、将来受給できる年金の見込額が、「平均収入を上回る年収水準で30年間働き、厚生年金に加入していた場合の受給見込額(受給年金水準)」に達しているかも考慮要素とされています。

受給見込額が足りない場合でも、不足分を補える金融資産(補填資産)があれば、基準に達しているものと評価されます。補填資産の基準額は申請時の年齢に応じて変わり、若い方ほど低い基準となります。

POINT|これまでの年金チェックは「保険料を納付しているか」が中心でしたが、改定案では「将来いくら受給できる見込みか」まで踏み込んだ審査になります。国民年金のみの加入期間が長い方、自営業の方などは特に影響が大きい可能性があります。

4.【国益要件】新たに明示された主な考慮要素

改定案では、国益要件の考慮要素が具体的に列挙されています。特に注目すべきものを紹介します。

1公租公課の支払:「過去の滞納」も消極評価

税金(所得税・住民税・固定資産税等)や公的医療保険・公的年金を適切に支払っていない場合は消極評価となります。重要なのは、申請時点で未納がなくても、過去に滞納処分を受けたことがあるなど、過去に適切に支払っていない状況があれば、原則として消極評価とされている点です。この審査も原則として同一生計世帯単位で行われます。

2在留期間:原則10年+出国日数のルール明確化

申請時点で、原則として引き続き10年以上日本に在留していること、そのうち就労資格又は居住資格で引き続き5年以上在留していることが考慮要素です。

さらに、過去10年以内において、合理的な理由なく、

  • 1回の出国で半年(6か月)以上日本を不在にした期間がある場合
  • 出国期間が通算2年6か月以上となる場合

は、原則として消極評価されることが明記されました。海外出張や一時帰国が多い方は注意が必要です。

3日本語能力:B1相当レベル以上が考慮要素に

申請時点において、「日本語教育の参照枠」におけるB1相当レベル以上の日本語能力を有しているかが、新たに考慮要素とされました。

ただし、高度人材外国人やその家族、日本の小中高等で累計6年以上教育を受けた方、一定の要件を満たす永住者の子など、本人にB1相当以上を求める必要性・相当性がない場合には考慮要素としない、という例外も設けられています。

4日本の制度・ルール等への理解

「生活・就労ガイドブック」に記載されている事項を中心に、日本の制度・ルール等を理解しているかの確認が行われ、その理解が一定水準以上に達しているかが考慮要素となります。理解が乏しい、または理解する意欲に欠ける場合は消極評価とされます。

5学齢期の子どもの就学

義務教育の年齢にある子を育てている場合、子が小学校・中学校に通学していることが求められ、これを満たすかが考慮要素となります。

6その他:義務違反・刑罰・上陸拒否事由など

このほか、住居地届出や在留カードの携帯・提示義務などの入管法上の義務違反(過去の違反を含む)、拘禁刑・罰金刑や少年法の保護処分を受けたこと、上陸拒否事由への該当なども、原則として消極評価の対象として整理されています。

5.原則10年在留の特例

原則10年の在留期間については、従来同様、次のような特例が整理されています(主なもの)。

対象者 必要な在留期間等
日本人・永住者・特別永住者の配偶者 実体を伴った婚姻生活5年以上+引き続き3年以上在留
その実子等 3年以上継続して在留
「定住者」の在留資格の方 5年以上継続して在留
難民認定・補完的保護対象者認定を受けた方 認定後5年以上継続して在留
高度人材(ポイント70点以上) 70点以上を維持して3年以上在留 等
高度人材(ポイント80点以上) 80点以上を維持して1年以上在留 等
特別高度人材 1年以上継続して在留 等
日本への貢献が認められる方 5年以上在留

なお、在留資格「特定活動」については、活動内容によって10年の期間に算定されるか・就労資格に該当するかが異なることも、改定案で整理されています(継続就職活動や難民認定等手続中の在留は10年に算定されない、など)。

6.【最重要】適用時期:申請中の案件にも一部適用される

改定案では、適用時期について次のように示されています。

① 原則
改定後のガイドラインは、令和9年(2027年)4月1日以降の申請から適用されます。

② 例外(注意!)
「収入」(世帯年収の年収水準)と「公共の負担とならないこと」に関する部分は、ガイドライン改定日の6か月前の日以降にされた申請で、改定日時点で審査中の案件にも適用されます。

⚠ つまり、改定を待たずに「駆け込み申請」をしても、収入に関する新基準の審査を受ける可能性があるということです。帰化審査における「原則10年」の運用変更と同様、申請日が早いというだけでは安心できない構造になっています。

また、令和9年4月1日施行の入管法等改正により、「法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」が永住許可の要件として法律上も明確化されます(改定案では、これは従前から審査で考慮されていた内容の明確化と説明されています)。

7.意見(パブリック・コメント)を提出するには

今回の改定案に対しては、2026年9月4日まで、誰でも意見を提出することができます。

提出された意見は、行政手続法に基づき考慮され、結果の公示の際には意見に対する行政の考え方も公表されます。実際に永住を目指している方、外国人を雇用する企業、支援者の方などは、実情に基づいた意見を届ける貴重な機会です。

提出方法・提出先の詳細は、e-Gov(電子政府の総合窓口)のパブリック・コメント一覧、または出入国在留管理庁のウェブサイトでご確認ください。

8.まとめ:永住審査は「具体的な数字と証拠」の時代へ

① 永住許可ガイドラインの改定案が公表され、2026年9月4日までパブリック・コメントが実施されています。

② 世帯年収(日本人平均を上回る水準)・将来の年金受給見込額・日本語能力B1相当・制度理解・子の就学など、審査の考慮要素が具体化・厳格化されます。

③ 過去の税・保険料の滞納や、出国日数(1回半年以上/通算2年6か月以上)も原則消極評価と明記されました。

④ 適用は原則2027年4月1日以降の申請からですが、収入等に関する部分は申請中の案件にも適用され得るため、「早く申請すれば旧基準」とは限りません。

帰化審査における「原則10年以上」の運用変更と合わせて見ると、永住・帰化のいずれについても、在留の長さ・生計の安定・公的義務の履行を、具体的な数字と証拠で示すことが求められる時代に入ったといえます。

当事務所のサポート

当事務所では、帰化申請・永住許可申請について、「今の在留歴・年収・年金・納税状況で、申請するのが適切なタイミングか」という観点から検討し、申請時期のご提案を含めてサポートしています。今回の改定案が自分に影響するのか不安な方も、お気軽にご相談ください。